【書評】民主の敵-政権交代に大義あり 野田佳彦/著
著者は、ご存知、現内閣総理大臣の野田佳彦氏である。ただし2009年6月の著作で、まだ野田氏は総理でもなく、それどころか民主党はまだ政権与党でない時代のことです。
政治家の書いた本は、読まない主義ですが、あまりに野田氏のことを知らなかったので、ちょっと読んでみた次第です。
自民党政権の問題点とそれに対する解決能力の欠如、力をつけてきた民主党、そして野田氏自身のこれまでの真摯な政治活動がわかりやすく語られています。好感のもてる内容です。
それでも当時、自分が総理になるとは思っていなかったらしく、いや、民主党が政権交代することすら、まだ先でないかと思っていたのではないでしょうか。
例えば、本著にはこんな一節があります。
「小泉さんが選挙に勝った後、安部、福田、麻生と三人も、民意を反映していない総理大臣が続いてしまいました。(中略)しかし、これだけ時代の変化が激しいときに、民意の裏付けのない政権が、国の舵取りをし続けるということでいいはずがありません。」
現在の野田政権も自身が自民党政権を批判していた状況そのものので誕生しているわけですね。
また、こんな一節もあります。
「自民党と同じ過ちを犯す危険性は十分にあります。だからこそ、政権は定期的に交代するのが一番なのです。私は、10年では長いと思います。五年から八年で政権は交代していくべきでしょう。むろん立場上は、「ずっと民主党におまかせ下さい」といわなければならないかもしれません。しかし、自民党の長期政権を批判しておいて、これからは民主党に未来永劫日本の舵取りをお任せ下さい、とは言えません。政党には、頭を冷やして勉強し直すという時期が、あってしかるべきなのです。」
まだ民主党政権はできて2年。長期政権になっていないので良いですが、長くなって腐敗が生じたらどうするのでしょうか。そのお気持ちに変わりがなければ素晴らしいお考えですが。
そんな、部分もありますが、野田氏の人となりが良く出ている著作でした。政治家として、どじょう宰相として、十分に期待したいですね。
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