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2011年6月28日 (火)

【書評】トレイシー 日本兵捕虜秘密尋問所 中田整一/著

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日本にとって最後の戦争となった太平洋戦争について少しでも興味を持って小説なりドキュメンタリー番組を見た人にとって衝撃のノンフィクション作品である。

当事のアメリカ軍が未知なる敵国日本をいかに早急に研究し、アメリカの国益として、アメリカ軍の損耗を少なくしうるために全力を挙げて戦争遂行していたことを知ってはいたが、ここまで徹底していたとは知りませんでした。

司馬遼太郎さんがアメリカのことを端的に人工国家といっているが、国家成立の神話を持たない人工国家ならではの、科学的、合理的、民主的な合意形成の行き着く先というか日本人には思いも付かない用意周到さは驚愕の国家戦略です。(平和ボケした現代の日本人こそこうしたアメリカの凄さを今こそ認識すべきでしょうな。)

この尋問所はアメリカのもう一方の敵であるドイツにも使用されており、その中でドイツと日本の知己を遇わせて更なる情報収集をしていたのだ。それも驚くべき大物なのだ。ドイツ側ウルリッヒ・ケスラー空軍大将、日本側小島秀雄海軍少将の両名である。

ドイツの潜水艦Uボートが日本に何隻か到着していた事実は知っていたが、ドイツから最後に出航したUボートにウルリッヒ・ケスラー空軍大将という大物とドイツの最高軍事機密とその技術者が乗っていたのには驚いた。(結局日本に着く前にドイツ降伏を知り、アメリカ軍に投降した。同乗していた日本人技術将校2名は自決。)この日本行きをお膳立てしたのは、在ベルリン大使館駐在武官であった小島少将であった。この両名がアメリカに囚われての両名予期せぬ邂逅だった。ゆえに知己の両名の会話の盗聴により重要機密が得られるとふんだのがアメリカ軍なのであり、そうしたノウハウと技術設備が完璧に機能していたのだから恐れ入る。他方、日本軍は戦争相手のアメリカの研究をほとんどすることなく精神論大和魂のみで戦争完遂しようとしていたのですから・・・

一方、日本側を見ても当該捕虜秘密尋問所において知的レベルの高い日本軍人が敗戦必至な戦後の日本を思って日本の情報をまとめて提供し、戦争終結こそが日本の未来であると信じて協力していたことは、損得でも欺瞞でもなく、ある意味純粋な気持ちだったんだろう。そうした先人達を私は裏切り者とは思えないし、そうしたまっとうな見識の日本人たちが数多いたにもかかわらず当事の日本の多数意見となり得なかった体制の異常さ、その原因と対策について、我われ日本人はまったくもって総括し切れていないと思う。

今もって、減税だの原発廃止などといった感情的かつ近視眼的な、自己にとって都合の良い一面のみをもって世論が一方的に偏りがちな、ある意味当時と変わらない偏狭な日本であり続けている。

そんな他愛も無く目先の利益に流されてしまう無垢な国家であるとアメリカは今も日本を分析しているのだろうか?

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