【書評】人種と歴史 クロード・レヴィ=ストロース著 荒川幾男訳
無謀にもレヴィ=ストロースを読みたい!
そう思い立ったが、彼の著作は難解な上に以下のとおり大作ばかり
読みたいのは神話論理なれど、2500ページ以上って・・・
代表作は以下のとおり
悲しき熱帯 上下 677ページ
野生の思考 360ページ
神話論理4巻 2500ページ以上
そんな大著作群の中で、彼の初期の著作でありながら、彼の構造主義の胎動が十分に詰め込まれている一品があるとある人が書いてあった。
それがこの「人種と歴史」という作品だ。
この本はわずか75ページであるが、その内容たるや実に濃く深いです。
無駄が無く実に緻密な論理構成、目の前のもの、すなわち自分が見えるものを信用し、歴史は紆余曲折しながらが正しい道に向かっている、すなわち進歩しているという愚かなる現代人の盲目さを実に端的に証明してくれるのです。
例えば、彼は停滞的歴史と累積的歴史という概念を提起し、西洋が産業革命を成し遂げたのは累積的な歴史を歩んだ、ただそれだけのこととしており、個々の科学技術は停滞的歴史と呼ぶ、現代においては未開な文明の方が優れていたと言い、具体例を多数列記して私を困らせるのだ。
混乱しつつ、一つだけいえるのは、彼は自分が属する人間をあたかも一個の物体として、科学に実験材料と同じように冷徹に評価していると言うことだ。
それができる構造主義は、なかなか理解の難しい代物だということだけはわかった。
読んでいて感情として受け入れるのが難しい論理展開についていけなくなりますね。
もっと構造主義を勉強したいですね。
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