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2011年1月 6日 (木)

【書評】小さいおうち 中島京子著

Chiisai
 一人称での語りの世界にみるみる引き込まれ、日本が中国やアメリカと戦争していた時代背景にすんなりと、あたかもその時代にいるかのような、タイムスリップしたかのような時代感の演出にすっぽりと浸ることができます。
 そして、そうした時代ならではの生活を嘆くことなく楽しんでいた主人公の生き方に感情移入していったところで、唐突にそれが終わりました。
 なんで?と気になる直後に、エピローグのような二人称の世界が展開されて、さらに三人称の世界にまで広がって、一人称では見えなかった真実があぶりだされていきます。
 最後に、予想もしなかった上質のミステリーのような趣のある、不思議な自叙伝的恋愛小説でした。
 これは本当にあった話なのではないかと、いまだに思ってしまう、予想外の読後感を味わうことができる小説でした。

(以下、当初の書評)
題名から創造できないストリー展開でした。

歴史好きの私ですが、どうしても歴史上の人物に関心がいってしまいます。
作家も藤沢周平よりも司馬遼太郎が好きです。
それは歴史上の偉大な人物を丹念に描いているからです。

そんな私にとって、戦争中の庶民の生活は、「欲しがりません勝つまでは」のスローガンそのもののステレオタイプ的な認識しかありませんでした。

しかしこの作品では、戦争中ももっと豊かで文化的な生活、どこか戦争とはかけ離れた浮世じみた、現代の日本にも繋がる脳天気、ご都合主義的な雰囲気が漂っていたんだと、そういう描写でこの物語は進むのです。

私と同世代の作者がどうしてこの時代の雰囲気をつかんでいるのか?実に不思議ですが、その描写は、リアルの太平洋戦争の東京を捉えているとしか思えません。

ほとんどは、主人公であるタキおばあさんの独白で進みますが、最後尻切れトンボ終わります。そして最終盤では、タキおばあさんの甥っ子が独白に出てくる人物に直接話を聞いて、最後に大きなどんでん返しが起きるのです。

戦争中の生活感ある描写にばかり感心していた私にとって、最後は見事な驚きでしたね。

なんだかとりとめのない書評になりましたが、この本は、われわれの戦中イメージの変革と上質のミステリーに近いエンディングで実に印象深い本であるということを伝えたいのです。ほんとに素晴らしい本でした。

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