【書評】フリーター、家を買う。 有川浩(ありかわひろ)著
まず、経済的に恵まれているとは思えないフリーターさんが、家を買うって、どういう展開?と思わせるタイトルが秀逸だ。
実際のところ、主人公である元フリーターが、家を買うという展開なのであるが、この小説の中で、それはひとつのエピソードに過ぎない。
ストーリーの軸は、家族の中で独りがんばってきた要の母親が精神を病んだことで、崩壊しはじめた家族が、その後の個々のがんばりで、徐々に再生していくお話だ。
複雑な現代社会の不条理さを背景に話は進むのだが、その背景部分については、ディテールに拘りながら、非常に分かりやすく描写して、なるほど、そういうからくりなんだと、ある意味心地よく頭の中に入っていく。
ご都合主義的な展開を感じさせずに付いて行けるととも、登場人物はどこにでもいるようなキャラクターでありながら、愛すべき存在として感情移入ができ、全体として、まさに読みあきさせないお話に仕上がっている。
フリーター諸子はもちろんのこと、生きる目標を見失いがちな現代に生きる社会人、家庭人、みなにきちんと感銘を与えてくれる小説だと思う。
なんて、堅い感想を書いてしまいましたが、われわれの生活に密着した深いテーマながら、とても読みやすいお話です。ぜひ、ご一読を!
追記(2010/08/18)
テレビドラマ化されるらしい。
10月スタートの連続ドラマ「フリーター、家を買う」(フジテレビ・火曜21・00)
主演は二宮和也(嵐・27)でヒロインは香里奈(26)さんらしい。
香里奈さんは、恋人役かなあ・・・。原作どおりだと、出番は終盤になるけど、脚本で早めに出てくるのかな?
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