菅直人新首相は8日夕、就任にあたっての記者会見を行った。会見の内容は次の通り。
今夕、天皇陛下の親任をいただいたのち、正式に内閣総理大臣に就任することになりました菅直人でございます。国民のみなさんに就任にあたって私の基本的な考え方を申し上げたいと思います。
私は政治の役割というのは国民が不幸になる要素、あるいは世界の人々が不幸になる要素をいかに少なくしていくのか、最小不幸の社会を作ることにあると考えております。もちろん大きな幸福を求めることは重要でありますが、それは例えば恋愛とか、あるいは自分の好きな絵を描くとか、そういうところにはあんまり政治が関与すべきではなくて、逆に貧困、あるいは戦争、そういったことをなくすることにこそ、政治が深く力を尽くすべきだとこのように考えているからであります。
そして、今、この日本という国の置かれた状況はどうでしょうか。私が育った昭和20年代、30年代は、ものはなかったけれども、新しいいろいろなものが生まれてきて、まさに希望に燃えた時代であります。しかし、バブルが崩壊してからのこの20年間というのは経済的にも低迷し、3万人を超える自殺者が毎年続くという社会の閉塞(へいそく)感も強まって、そのことがいま日本の置かれた大きな何かこう全体に押しつぶされるような、そういう時代を迎えているのではないでしょうか。
私はこのような日本を根本から立て直して、もっと元気のいい国にしていきたい。世界に対しても、もっと多くの若者が羽ばたいていくような、そういう国にしていきたいと考えております。その一つは、まさに日本の経済の立て直し、財政の立て直し、社会保障の立て直し、つまりは強い経済と強い財政と強い社会保障を一体として実現することであります。今、成長戦略の最終的なとりまとめを行っておりますけど、日本という国は大きなチャンスを目の前にして、それにきちっとした対応ができなかった。このように、思っております。
例えば鳩山前総理が提議された地球温暖化防止のための25パーセントという目標は、まさに日本がこうした省エネ技術によって世界の中に新しい技術や商品を提供して、大きな成長のチャンスであるにもかかわらず、立ち遅れてきております。また、アジアの中で、歴史の中で最も大きな成長の時期を迎えているにもかかわらず、先日も中国に行きましたら、いろんな仕事があるけれども、日本の企業はヨーロッパの企業の下請けしかなかなか仕事が取れない。いったいどんなことになる。つまりは、この20年間の政治のリーダーシップのなさがこういったことを生み出したとこのように思っております。成長戦略の中で、グリーンイノベーション、そしてライフイノベーション、そしてアジアの成長というものを、私たち、それに技術やあるいは資本やいろいろな形で関与することで我が国の成長にも伝えていく、こういったことを柱にした新成長戦略、これに基づいて財政配分を行いたいと考えております。
また、日本の財政状況がこれまで悪くなった原因は、端的に言えば、この20年間、税金が上げられないから借金で賄おうとして、大きな借金を繰り返して、効果の薄い公共事業、たとえば100に近い飛行場を作りながら、まともなハブ空港がひとつもない、これに象徴されるような効果の薄い公共事業にお金をつぎ込み、また一方で、社会保障の費用がだんだんと高まってきた、これが今の大きな財政赤字の蓄積の構造的な大きな原因である。
私は、財政が弱いということは思い切った活動ができないわけでありますから、この財政の立て直しも、まさに経済を成長させるうえの必須の要件だと考えております。
そして社会保障についても、従来は社会保障というと何か、負担、負担という形で経済の成長の足を引っ張るのではないか、こういう考え方が主流でありました。しかしそうでしょうか。スウェーデンなどの多くの国では、社会保障を充実させることの中に、雇用を生み出し、そして若い人たちも安心して勉強や研究に励むことができる、まさに社会保障の多くの分野は、経済を成長させる分野でもある。こういう観点に立てば、この三つの、経済成長と、財政と、そして社会保障を一体として強くしていくという道は、必ず開けるものと考えております。
国際的な問題についても触れたいと思います。日本は戦後60年間、日米同盟を基軸として外交を進めてまいりました。その原則は今も原則としてしっかりとそうした姿勢を続けていく必要があると考えております。それと同時に、アジアにある日本として、アジアの諸国との関係をより深め、さらにヨーロッパや、あるいはアフリカや、あるいは南米といった世界の国々とも連携を深めていく、このことが必要だと思っております。
普天間の問題で日米関係を含めていろいろと国内の問題も含めて国民の皆さんにご心配をおかけいたしました。日米の間の合意はでき、それに基づいて進めなければならないと思っておりますが、同時に、閣議決定においても述べられました、沖縄の負担の軽減ということも真摯(しんし)に全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。たいへん困難な課題でありますけれども、私もしっかりとひとつの方向性をもってこの問題に取り組んでまいりたい、このように思っているところであります。
そして、わたし、総理大臣としての仕事は何なのか。この間、テレビなど見ますと私が任命した閣僚や党の新しい役員が、それぞれマスコミの皆さんの取材を受けていろいろな発言をしているわけです。どうですか皆さん。私よりも10歳も20歳も若い民主党の閣僚や党役員の顔を見て、声を聞いてこんな若手が民主にいてなかなかしっかりしたこと言うじゃないか、なかなかこれならやってくれそうではないか、そういうふうに思っていただけたのではないでしょうか。
私は鳩山さんと共に1996年に旧民主党をつくり、98年に新たな民主党、初代の代表となりました。その後、小沢前幹事長の率いる自由党と合併して、今の民主党になったわけですが、そこにそうした人材が集まってきたことがうれしいとともに、自信を持って今申し上げたような日本の改革を推し進めることができると思っています。
民主党に集ってきた皆さんは、私も普通のサラリーマンの息子でありますけれど、多くはサラリーマンやあるいは自営業者の息子で、まさにそうした普通の家庭に育った若者が志を持ち、そして努力をし、そうすれば政治の世界でもしっかり活躍できる、これこそが本来の民主主義のありかたではないでしょうか。
そのみなさんとともに、このような課題に取り組んでいくうえで私の仕事は一つの方向性をきっちりと明示し、そして内閣、あるいは党をその方向で議論するところは徹底的に議論をして、みんなが納得したうえでその方向にすべての人の力を結集していく、そのことが私の仕事だと考えている。
総理になったからには、もうあまり個人的な時間はとれない。本当なら53番札所まできているお遍路も続けたいところだが、今しばらくはそれを後に延ばしても、ある意味では官邸を中心に、これこそが修行の場だという覚悟で、日本という国のため、さらには世界のために私のあらん限りの力を尽くして良い日本を、良い世界をつくるために全力をあげることを国民の皆さんにお約束して、私からの国民の皆さんへのメッセージとさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
Q:(毎日)菅総理、よろしくお願いします。総理は首相指名後の記者会見で、今回の組閣について、官邸機能をしっかりとして、内閣の一体性を確保すると指摘されています。総理が副総理として加わった鳩山内閣は短命に終わりましたけれども、その背景には、どんな構造的な問題があったのでしょうか。今回の組閣では、その教訓をいかして、どこがどう変わるのか、具体的にお答えください。
A:鳩山政権は(私は)副総理という重要な役割をいただいていた。鳩山内閣が短命だったことは残念だし、大きな責任を感じている。そのうえで、新たな、私のもとの内閣は、やはり、官房長官を軸にした一体性を考えて構成をいたしました。つまりは、総理のもとの官房長官とは内閣の番頭役であり、場合によっては、内閣総理大臣に対して「ここはまずいですよ」と言える人物でなければならない。よく中曽根政権のもとの後藤田先生の名前が出ますが、まさに、そうした力をもった方でなければならない。仙谷さんは、私とは長いつきあいだが、同時に、ある意味では私にとって煙たい存在でもある。しかし、そういう煙たい存在であって、しかし力のある人に官房長官になっていただくことが、この政権の一体性をつくっていくまず最初の一歩だと考えている。
そして、そのもとに副長官、さらには各大臣、副大臣という形を構成する。この間、政と官でいろいろ言われました。けっして官僚のみなさんを排除して、政治家だけで物を考え決めればというものではない。官僚のみなさんこそが、政策やいろいろな課題に長年取り組んできたプロフェッショナルであり、そのみなさんのプロフェッショナルとしての知識や経験をどこまでいかして、その力を十分にいかしながら、一方で、国民に選ばれた国会議員、その国会議員によって選ばれた総理大臣が内閣をつくる。国民の立場をすべてに優先する中で、そうした官僚の力も使って政策を進めていく。このような政権を、内閣をつくっていきたい。今日、全員の閣僚とそれぞれ10分程度でしたが、話をしました。それぞれ頑張ってほしいと同時に、必要とあれば、私がそれぞれの役所のあり方について、場合によっては、官房長官を通してになるかもしれませんが、もう少しこうしたらいいのではないのと申し上げて、一体性と同時に、政と官のよりよい関係性をつくっていけるように努力したい。
Q:TBSです。間近に迫った参院選についてお聞きします。改選期が迫った議員を中心に7月11日の投開票を求める声が高まっていますが、総理は今国会の会期を延長し、投開票日を先送りする考えはありますか? また、参院選の争点と目標獲得議席数、それから勝敗ラインはどのようにお考えでしょうか。
A:国会の会期というのは、通常国会は150日と決まっています。本来はその期間の中で成立させるべき法案をすべて成立させたいわけです。会期末を近くに控えて、まだそんな状況になっていません。
その中で国民新党との間での合意、つまり郵政の法案について成立を期す、という合意もあるわけです。
一方で多少の延長をしても必ずしもすべての法案を成立させることは難しい、それならば、また、選挙の後に改めて取り組むこともあってもいい、という意見もいただいております。これから新しい幹事長、あるいは国対委員長のもとで、連立の他党のみなさんとも議論した上でその方向性を定めていきたいと考えております。
選挙における勝敗ラインはよく言われますが、私は6年前、岡田代表のもとで戦われた参院選でいただいた議席がまずベースになる。そのベースをどこまで超えることができるか、超えることが本当にできるか。
これから私はすべての選挙区について、私なりに選挙区情勢について把握しなければ。そしてこれから発足する予定の参院選の選挙対策本部長として、陣頭指揮をとっていきたいと考えております。
Q:総理はさきほど財政再建の必要性、重要性について強調されましたが、参院選に向けて、消費税を含む税制の抜本改革についてどのように位置づけていくか、ということと、ご自身の財政再建について、新規国債発行額を今年度の44.3兆円以下に抑えるとおっしゃっていますが、これを参院選に向け公約に明記するお考えはあるのか。
A:確かに44.3兆円以下を目標とすることを申し上げました。ただそれは誤解をいただきたくないのは、44.3兆円の国債を出すことで財政再建をできるということではありません。これでも借金は増えるんです。この規模の財政出動をしていれば、GDPで200%を超える国債残高が数年のうちになってしまいます。その点でまさに国として、とらえなければならない最大の課題でもあります。これから所信表明演説もありますが、こういう問題こそ、一党一派を超えて本当にどこまで財政再建のためにやらなければならないのか。それは規模においても時間においてもどうあるべきか。そのことをある意味では党派を超えた議論を、する必要が今この時点であるのではないかと思っています。
そういうことを踏まえながら最終的な政権として公約を含めて考えていきたいと思っています。
Q:96年の夏、旧民主党ができてここにいたるまで14年間になって、菅首相が誕生したことは感慨深いものがありますが、そこで振り返って、当時、旧民主党はディスクロージャーを掲げて、開かれた政治を打ち出してました。その精神が生きているとしたら、今回、政権をとったこの時点で、官房機密費ならびにこうやって開いていますが全閣僚の政府会見、そして何といっても菅さんがさきほどおっしゃっていましたが、官房長官の会見等を国民のために完全に開くというご意志があるのかどうか。鳩山前首相はそれについて約束してくれましたが、菅首相はどうかお聞きしたい。
A:まあ、開くという意味がですね、具体的にどういう形が適切なのか、まだ私も総理という立場でまだ検討というまでにはいたっておりません。率直に申し上げますと私はオープンにすることはいいと思いますが、ややもすれば取材を受けることによって、そのこと自身が影響をして、政権運営が行き詰まるという状況も何となく私には感じられております。
つまり政治家がやらなければいけなのは、まさに私の立場でいえば、内閣総理大臣として何をやるかであって、それはいかに伝えるかというのは、たとえばアメリカには報道官という制度もありますし、かつてのドゴール大統領などはですねあまりそう頻繁に記者会見をされてはいなかったようですが、しかしだからといって国民に開かれていなかったかといえば、必ずしもそういうふうに一概にいえない。ですから回数が多ければいいとか、あるいはいつでも受けられるとか、そういうことが必ずしも開かれたことではなく、やるべきことはやり、そしてそれに対してきちんと説明する。説明すべきときには、それについてどういう形がありうるのか、これは今日正式に就任するわけですから、関係者と十分議論したいと思っています。
Q:参院選挙に関連するのですが、政権が代わり、総理大臣が代わったということですが、衆院選、衆参同日で選挙を打つというお考えはありますか。
A:まず新しい政権になって、国民のみなさんから参議院の選挙で審判を受けることになります。衆議院の選挙については、時々、いろいろな方が言われるのは、わからないわけではありませんが、まず参議院の選挙でですね、今ここでも申し上げましたような、ある意味では昨年の選挙で公約を申し上げましたし、大きな意味での方向性をだんだんと固めてきた問題を含めて、きちっとこの参議院選挙で議論をさせていただきますので、そのことに対しての国民の審判をまずいただくことが、最初にやること、というか、やらなければいけないことだと思っております。その意味で現在のところ、衆議院選挙について、さらにやるべきだという、必ずしもそうなるのかどうか、これはまったく白紙ということで考えております。
Q:ニコニコ動画です。前政権では、政治主導や友愛政治ということがよくいわれたが、菅政権を象徴する、あるいは目指す方向性を表すキーワードがもしあれば教えてください。
A:私自身は草の根から生まれた政治家でありますので草の根の政治という表現も一つ頭に浮かぶんでありますが、もう少し元気のいいところで言えば、まあ私の趣味で言えば「奇兵隊内閣」とでも言いたいと思いますね。私はあの、まあ今、坂本龍馬が非常に注目されておりますが、長州生まれでありますので、高杉晋作という人はですね、逃げるときも早いし攻めるときも早い、まさに果断な行動をとりました。まさに、明治維新を成し遂げる大きな力を発揮した人です。今、日本の状況は、まさにこの停滞を打ち破るために果断に行動することが必要です。そして、奇兵隊というのは必ずしもお殿様の息子たちがやった軍隊ではありません。まさに武士階級以外からも、いろんな人が参加してこの奇兵隊を作った。まさに、幅広い、国民の中から出てきた我が党の国会議員、これが奇兵隊のような志を持って、まさに勇猛果敢に戦ってもらいたいと期待を込めて、奇兵隊内閣とでも名付けてもらえればありがたいと思います。
Q:鳩山前総理は退陣の理由として、政治とカネの問題、普天間問題を挙げました。政治とカネの問題ですが、昨日枝野幹事長は政倫審への出席についてご本人の考えに任せるとされたがどう考えますか。普天間は日米間で技術面を8月末までに決めるということになっているが、沖縄では依然として反対です。どういう判断をされているか。
A:鳩山総理が自らの辞任のあいさつの中で、今ご質問がありました政治とカネの問題と普天間の問題をあげられて、いわばその問題でこの民主党政権が本来やらなければならないことがなかなか国民に理解をしてもらえなくなったということで、自ら身を引かれたわけです。そういう意味では、この後を受けた私の政権は、ある意味ではこの鳩山前総理の思いをしっかり受け止めて、引き継いでいかなければならない、とそう思っています。
政治とカネの問題については鳩山総理の発言もあって、小沢幹事長も自ら幹事長を引いておられるわけです。ある意味でこれで十分と考えるかどうかはいろんな立場がありますけど、政治という場で、そうした総理でもある代表を辞任し、また最も党の中で重要な役職である幹事長を辞任するということは一定のけじめではあると思っています。それを含めてどういったことが国会や他の場面で必要になるのか、特に国会の問題では幹事長を中心にそういったことについては、まあ他党の主張もあるわけですからしっかりと他党の主張も聞きながら判断をしていきたいと考えております。
普天間については日米合意を踏まえるという原則はしっかりと守っていかなければならないと思っております。ただ、だからといって沖縄のみなさんが現在の時点で賛成をしていただいているというふうにはまだまだ思える状況にないことも分かっております。ですから、8月の専門家による一つの方向性を出すということは、それは一つの日米間の日程上の約束になっているわけですけども、そのことと沖縄のみなさんの理解を求めるということは並行的に進めていかなくては。当然でありますが、日米間で決めればすべて沖縄のみなさんが了解していただけるということではもちろんないわけですから、そういう意味では、沖縄の負担の軽減ということをしっかりと取り組んでいくそのことを含めた話し合いをしていかなければならない。まあ先の政権で、いろんな方がいろんなアイデアや意見を持って鳩山前総理のところにこられたという経緯があったので、逆に言うといろんな意見を聞くことはいいけれどいろんな人に担当してもらうことは混乱を招きかねません。まずは官房長官のところでどういう形でこの問題に取り組むべきなのか、もちろん外務省、あるいは防衛省、場合によっては沖縄担当という大臣もおられますので、どういう形でこの問題に取り組むのが適切か、そういう時間を区切るわけにはいけませんが、今日が正式なスタートなのでこの間で、そういうまずはどういうチームなりどういう枠組みの中でこの問題を検討していくかの検討を、まずはしっかり行いたいと思います。
Q:日テレです。総理の今回の人事について小沢カラーを払しょくした人事という見方がある一方、野党側はこれは参院選に向けた小沢隠しだと指摘している。菅総理はこの間、小沢さんにはしばらく静かにしていただきたいとおっしゃったが、しばらくとは参院選までなのか、今後小沢前幹事長との距離感はどのように取っていくのか。
A:ま、よくあの皆さん、報道見てるとですね、ま、常にその、小沢さん、に、まあなんていいましょうか、近いとか遠いとかという、あるいは小沢カラーといわれますが、少なくとも私の今回の人事を考えるうえで、最大の要素はどなたにどういう仕事を担当してもらうことが、より効果的に物事が進むかということで判断をいたしました。ですから、よく見ていただければわかるようにですね、それぞれ、自らの考え方を持ち、行動力を持った人が、私は、それぞれの所掌についてもらったと思ってます。
小沢前幹事長について、私が申し上げたのは、ま、例えば私もですね、ま、2004年、ま、最後は社会保険庁の間違いということが分かりましたけれども、いわゆる年金未納で代表を辞任したことがあります。やはり、辞任をした後はですね、しばらくは本当におとなしくしてようと思いました、私自身も。
あるいは岡田さんは2005年の衆院選挙で小泉政権の、郵政選挙で大敗をされました。あの選挙も今考えれば、小泉さん流のですね、ある意味ひどいというと言葉は過ぎるかもしれませんが、まさに小泉劇場に踊らされた選挙であったわけですが、しかし岡田さんは責任を取って辞任した後ですね、まさに全国の落選した仲間を一人一人訪ねるという形で、少なくとも表の場で言えば静かにして、次を、に、つながった、行動をされた。
ですから、私は特別なことを言ったつもりはありません。総理が政治とカネの問題も含めて辞任し、また、幹事長も総理からのその、なんていいますか、同じ問題でやはり共にいこうではないかということで了解をされたというふうにあの場で総理が言われたわけですから、やはり、ある意味で、責任を感じてやめられたということであるならば、しばらくの間はですね、静かにされているのがご本人を含めてみんなのためにもいいのではないかと、ごく自然なことを言ったつもりであります。
ま、しばらくというのは、まさに、今申し上げたことでも、あれこれ言いませんが、何日ならいいとか、何年ならいいとかいう種類のものではなくてですね、一つの新しい段階が来た中ではそれはそれとしてまた、判断があっていいんじゃないでしょうか。
Q:ダウジョーンズ。財政再建と経済成長策についてうかがいたい。総理は達成するためにどのような手段があると考えるのか。また円安は、この点において貢献できることはあるか?
A:円安ですか。円安はなんですか?
Q:場面を達成することに貢献できることはあるか?
A:さきほど経済、財政、社会保障を一体でということを申し上げた。詳しいことを時間があれば申し上げてもいいが、あちらこちらでも発言していますし、また近いうちに所信表明もありますので、そういう中では、もう少し詳しく申し上げたいと思っています。
基本的には財政というものを健全化するその時に、ただ、極端に言えば、増税して借金返しに充てたらいいかと言えば、これは明らかにデフレをより促進する政策になってしまいます。そういうことを含めて、財政の振り向ける方向性が、しっかりと経済成長につながる分野でなければなりません。また、国民の貯蓄を国債という形で、借り受けして、そうした経済成長に資するところに使っていくというのは、当然、経済政策としてありうる政策であるわけです。
何が間違ったかといえば、使い道が間違った。90いくつも飛行場を作って、インチョンのようなハブ空港がひとつもないような使い方をやったことが、借金は増えたけども、成長はしなかったということであります。さらにいえば、世界先進国の中でももっともGDP比で高い水準まで借金が積みあがっているので、マーケットというものはなかなか難しいが、そういうことを考えたときには、これ以上、借金による、たとえ適切な財政出動であっても、借金による財政出動でいいのか、それとも税制の構造を変えることによって、新たな財源を生み出して、そこの財源を使うことが望ましいのか、そういったことをまさに本格的に議論する時期にきている。
できれば、それは、政府として、一方的に考え方を申し上げるのだけではなくて、自民党を含む野党のみなさんの中でも、共通の危機感をもたれている方もかなりありますので、そういう中での議論に私はつなげていければいいなと思っています。
円安のことは、一般的には円安が輸出においてプラスになるし、輸出のかなりウエートの高い今の日本経済では、円安が一般的にいえば、プラスになると言われていることは私もよく承知しています。ただ、相場については、あまり発言しないようにと、財務大臣になった時も言われましたので、この程度にさせていただいています。
Q:日経。米軍普天間基地の移設問題。ぎくしゃくした日米関係を再構築するために、総理は、日米関係を好転させるために、具体的にどのようなことを考えているか? たとえば近くサミットがカナダであるが、その前後を利用して自ら訪米したりはという形は考えているか?
A:まあ、カナダでサミットが近く今月の終わりごろありますので、その場でオバマ大統領と会談ができればいいなと、まだ最終的な予定決まっていないが、そう思っています。ただ、先日の電話会談では、カナダで会うことを楽しみにしているとオバマ大統領からも話をいただいているので、たぶんその場での会談は実現できるのではないかと思っています。
それより以前に訪米するということなども、いろいろ選択肢はあるわけですが、私ももちろんいろいろな国会を抱えていますし、アメリカ大統領はもちろんもっと世界のいろいろな仕事があるわけで、今のところはサミットの時に、総理大臣として初めてお目にかかってお話ができるのではないかと思っています。ということです。
Q:菅総理の考える自由な言論についてたずねる。今回でフリーランス記者が総理に質問できる会見は3回目だが、参加するためにはさまざまな細かい条件が課されている。また3回連続で、参加を申請し、断られたフリージャーナリストの1人は、官邸報道室の調査官にこういわれたと言います。「私の権限で、あなたを記者会見に出席させないことができる」。そのジャーナリストは、これまで警察庁キャリアの不正を追及したり、検事のスキャンダルを暴いてきた人物だが、権力側から見たら煙たい存在だ。総理は、過去の活動実績の内容や思想信条で、会見に(出席)させる、させないと決めてもいいとの判断か?
A:まあ、先ほど、この会見というのか、オープンということの質問にもあったが、私は一般的にはできるだけオープンにするのが望ましいと思っています。ただ何度も言いますように、具体的にどういうかたちが望ましいかはそれぞれ関係者のみなさんの意見も聞いて検討したいと思っています。たとえば、私などはもう、総理になったらいろいろ制約があるのかもしれませんが、街頭遊説なんていうのは、たぶん何百回ではきかないですね、何千回もやりました。いろんな場面がありますよ。その場面でも。
そら、隣に来て、大きなスピーカー鳴らして 邪魔をする人もいたり。集団的にきては、という人もいたり、いろんなことがあります。だからいろんな場面がありますので、できるだけオープンにすべきだという原則と、具体的にどうオペレーションするかは、それはそれとして、きちんと必要なルールなり、対応なりをすることが必要かなとこう思っています。
Q:フジテレビ。今回の閣僚の顔ぶれを拝見すると再任が多いわけですが、これは来るべき夏の参院選、9月の代表選後に改造というようなことも念頭に置いてのことなのか、それとも逆に少なくとも次の総選挙まではこのメンバーで行くぞというようなご決意で決められたのか。
A:まあ一般的に言えばですね、まだ鳩山政権が誕生してから9カ月弱で、まあ今回の辞任に至ったわけです。ですからすべての閣僚も9カ月弱のこれまでの就任期間だったわけです。ですからあの、私もそれこそ最初にイカルイットのG7なんかに行ってですね、この1年間で4人目の財務大臣の菅直人ですって言ったら、各国の財務大臣が苦笑していましたけれども、つまりはあまりにですね、その、総理はもとよりですが大臣も短期間で代わるということは私はそういう意味での行政の質と言っていいのか、望ましいことではないと思っております。ですから今回については、もちろんいろんな経緯で自ら少し休みたいと言われたいろいろな経緯の方もありますけれども、しっかりした仕事をだいたいの方がやっていただいていると私も同じ内閣にいて見ておりましたので、そういう皆さんには留任をしてもらったということであります。
あの、改造うんぬんって話も今言われましたけれども、どうも皆さんが好きなのはですね、改造とかですね、新しくこう変わることが好きなんですね。同じ人がしっかりした仕事をやっていてもですね、なかなか報道してもらえないですね。ですから私の頭にそういう改造とか何とかということはまったく頭の中にありません。ぜひですね、しっかり今やっている大臣が、何をやっているかをよく見て、どういうことが実現できたかをよく見てですね、そのうえでそういう、こうするのか、ああするのかということを聞いていただければと思います。
Q:私が申し上げたかったのは次の総選挙までは変えないぞという意気込みでいかれるのかどうかということです?
A:ですからそのことも含めてですね、今、私の頭の中には改造とか、なんていう言葉はありませんし、一般的にはある程度の期間を続けていただくことが望ましいと思っておりますけども、この間、思いもかけない首相辞任もありましたのでですね、あまりあの、その先のことまであまり確定的に申し上げることはちょっと控えたいと思います。
Q:北海道新聞です。北方領土問題についてですが、鳩山前総理はやり残した仕事として北方領土問題を挙げられました。メドベージェフ・ロシア大統領と6月のサミット、9月のロシアの国際会議、11月のAPECで3回首脳会談をやる予定でした。菅総理としてはこのメドベージェフ大統領と総理の約束を踏襲されるのか、北方領土問題について実際的にどのようなことをやっていきたいとされるのか。
A:ま、率直なところまだ私自身がですね、鳩山前総理がどういう約束をメドベージェフ大統領とされているのか、あるいはその流れがどうなっているのか、必ずしも詳細にまだ状況を把握しておりません。ですから、この問題大変重要な課題であると同時に、大変、歴史的にも非常に長い間の問題で、大きな課題であるだけにですね、どういう形で取り組むことが適切か、まずはこれまでの経緯、あるいは鳩山総理とメドベージェフ大統領のそういう約束の中身なども十分検討したうえで判断したいと思います。
Q:フリーランスです。先ほど質問された中にありました官房機密費の問題について、総理お答えになっていなかったようですので重ねて質問申し上げます。野中元官房長官が機密費を、言論人、あるいはマスメディアに配って、いわば情報操作、言論操作を行ったという証言をしました。その後、私自身も取材を行い、この野中さんの発言だけでなくはっきりと私は、機密費を受け取ったと証言する人物も出ております。評論家の佐藤優さんはかつて江田憲司から機密費を受け取ったと私にはっきりおっしゃいました。こうした政治とカネならぬ報道とカネの問題、政治と報道とカネの問題と申しましょうか、こうした問題は大変ゆゆしき問題だろうと思います。この点についてきちんと調査をなされる、そして機密費の使途についてこれまで使った分も、それから今後使用される分も含めて公開されるお気持ちはあるかどうか、お考えをはっきりお述べいただきたいと思います。よろしくお願いします。
A:機密費という問題、あの、なかなか何と言いましょうか、あの、根源的な問題も含んでいるわけです。ものの本によればですね、戦前でしたでしょうか、ソ連の動きを明石大佐でしょうか、いろいろ調査をするときにですね、巨額のまさにそういう費用を使ってですね、いろいろそういう意味での情報のオペレーションをやったということも歴史的には出ております。
そういう意味で、あの、確かにその国民の皆さんの生活感覚の中で考えられることと場合によっては機密費という本質的な性格の中にはですね、一般の生活感覚だけでは、はかることの場合によってはできないもうちょっと異質なものもあり得ると思っております。今この問題、官房長官の方で検討されていると思いますが、まあ、あの、いろんな外交機密の問題もある意味である期間があけた後に一度公開するルールも、必ずしも日本ではっきりしていないわけですけれども、この機密費の問題もですね、何らかのルールは、そういう意味でですね、あの必要なのかなと思いますが、現在その検討は官房長官ご自身にゆだねているところです。
報道のあり方についてはこれはあまり、私の方からですね、言うべきことというよりも、それは報道に携わる皆さん自身がですね、考えられ、あるいは自らのルールが必要であれば、自らの自主的なルールを考えられればいいのではないかと。私なんかも時折ですね、記事が違うんではないか、一体誰から聞いたんだと言っても、それは取材元の秘匿はジャーナリストのいわば原点ですからといわれて、まあ、それはそれで一つのルールなんでしょう、考え方なんでしょうから、政治とカネの問題についても皆さん自身がどういうルールなり倫理観をもって当たられるか。まずは皆さん自身が考えられ、あるいは必要であれば議論されることではないでしょうか。
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