【書評】日本百名山 深田久弥著
日本百名山を完踏することが、わが人生の中での大きな目標の一つでありながら、実は最近までその作品自体は読んでいなったというのだから、笑ってしまう話でもあります。
それでも、とうとう読み終わりました。
とうとう読み終わったと書きましたが、この本、以外にタフな本でありました。
私が読んだのは、新潮文庫の初版昭和53年発行のものでありますが、なんと535頁もあります。
一応山好きなもので、読み進めながらも、書いてあることに対して、はて?そうだったかなと、地図を広げてみたり、あるいは登った山の稿では、写真を見たりと、寄り道ばかりの読書となりました。
私の速読スタイルからは考えられない状態でした。
さて、百名山の選定基準ですが、後記において以下のような記述がありました。
その第一は、山の品格である。(後略)
第二に、私は山の歴史を尊重する。(後略)
第三は、個性のある山である。(後略)
附加的条件として、大よそ千五百米以上という線を引いた。(中略)例外はある。筑波山と開聞岳。
全て深田久弥さんが登った山が選ばれており、多少の疑義はあるものの、もはや百名山といえば、深田久弥の百名山のことになっている。
なお、わが千葉県ですが、山らしい山がない県であり、当然日本百名山に入っていない。なにせ県内最高峰が、愛宕山の408mで、47都道府県中最下位というのだから、仕方ない。
今では二百名山、三百名山も選定されているが、そこにも一つも入ってないのだから、ある意味、すごい県である。
それでも、「日本百名山」の中に、千葉県の山のことが一瞬であるが書かれている。あまりいい意味では書かれていませんが、紹介しましょう。場所は「後記」のところです。
(前略)谷文晁(たにぶんちょう)に『日本名山図会』三巻があって、全部で九十の山が描かれている。(中略)街道筋から見える有名な山は大てい含まれている。しかしその九十座の中には、房州の鋸山(のこぎりやま)や伊勢の朝熊山(あさまやま)のような小山が多く入っていて、わが国で最も高い山の集まっている日本アルプスでは、駒ケ岳、御嶽、立山の三つしか挙がっていない。
さて、個人的に特筆すべきは、解説を私の大好きな随筆の一つである「山のパンセ」の著者である串田孫一氏が書かれていることです。どちらも相当な山好きの作家であり(串田さんのほうが後輩のようですが)、双方とも相手を意識しながらも一度も一緒に山に行かれなかった無念さにじみ出ているのが、とても印象的で、解説としても最高の部類に入るものでした。
日帰り百名山ばかりでは、面白くないので、まずはとにかく百名山を完登すること。それからゆっくりと山を楽しみたいですね。
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