【書評】人並みといふこと しりあがり寿著
著者の名前がとにかく変ですが、どうも漫画家らしいです。
サラリーマンを辞め、漫画家になってのエッセイ集といった類の本なのでありますが、その内容は、実にすばらしいものでした。
人並みというキーワードから、人並みに振り回される人間、特に日本人を暖かくも極めて冷静かつ柔らかに指弾する内容で、私の考えとかなり近く共感できるものでした。私のもっとも嫌いな言葉である「常識」と同じですが、「人並み」という曖昧かつ柔らかな言葉を選ぶあたりは、さすがです。
この方、漫画家さんなのですが、「人並み」からわかるように、とにかく言葉も文章も秀逸ですね。
特に夏のはじまりの章は感動ものです。子育て奮闘記なのですが、ゲーマーの自己満足との共存には笑えます。
まとめると核家族での個人主義的な欲望を露わにしつつ、現代社会での幸せとは何ぞやという話なんですが、そのちまちましたストーリー展開の意外さは、いわゆる大作家では書けない不思議な世界ですね。
という訳で、個人的にはバイブルとしたいほどの内容で、購入するに値するのですが、装丁がちょっと・・・なんですよね。
まあ、一度読んでみてください。
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昔、しりあがり寿のマンガ「ヒゲのOL」を昔買いました(テレビで面白いと言われていてたので)。
シュールな感じ??
実家にあるかしらん・・・
投稿: aquamouse | 2010年2月11日 (木) 13時50分